以前、応急処置についてまとめてみました。
ケガをした時のRICE処置の方法は?【基礎・簡単】アイシングはケガをした時の急性期だけでなくスポーツ障害や治療に対しても使えるのです。
最近、私自身がスポーツ現場で熱中症予防や応急処置で氷を使う機会が多く、このテーマを書いてみようと思いました。
今回はスポーツ外傷に対するアイシングに関してまとめてみたいと思います。
この記事は
- スポーツをしている
- ケガをした時の対応を知りたい
- アイシングの使い方を知りたい
といった方に読んでもらえればと思います。
目次
治療のためのアイシング
一般的に急性外傷に用いられるアイシングは、20分程度を1~2時間の間隔をあけて、24~72時間継続することが望ましいとされています。
治療のためのアイシングも①温度 ②時間 ③インターバルを考慮する必要があります。
アイシングの至適温度
アイシングに用いる至適温度は10~15℃程度で、持続冷却よりは間欠的方法が良いとされています。
これらは、細胞組織の損傷なしに代謝レベルを低下させ二次的損傷を防ぐことが分かっています。
アイシングの時間
アイシングの時間は,15~30分が推奨されていますが、最近のシスティマティックレビュー1)では,10分間の間欠的な方法が最も効果的であると報告されています。
アイシングのインターバル
アイシングは持続的よりも間欠的方法が効果的で、インターバル時間はリウォーミングを考慮します。
アイシングによって低下した温度が元の温度に戻るリウォーミングは、30分のアイスパック適用後では2時間以上を要するといわれています。
アイシングは一回のみだと組織の反射によってより炎症を強めてしまうので時間をかけて繰り返し行うことが重要ですね。
スポーツ障害の予防
具体的にスポーツ現場で障害に対してどのように用いることが出来るのかまとめていきたいと思います。
柔軟性に対する効果
アイシングにより運動神経の伝導速度は減少し、筋紡錘活動が抑制されることで筋緊張の低下が生じるといわれています。
具体的にどのように行うかというと、アイスバック等を使って アイシング + ストレッチを行うことが推奨されています。
アイシングの目的としては痛みの軽減が挙げられますが、運動後に炎症が増悪して痛みが増加する場合は対象になるかと思います。
特にスポーツ後の対応としては有用そうですね。
筋機能への影響
アイシングによって運動神経の伝導速度が低下するだけでなく、筋組織が冷却されると粘性が増加するため筋機能に影響を与えるといわれています。
Wassingerら2)は肩に20分のアイシングを行うと、関節固有感覚および投球精度の低下が認められることを報告しています。
この内容を考慮すると、野球のイニング間やハーフタイムにアイシングを実施する場合は、短時間に留める必要がありますね。
筋微細損傷や疲労の回復
トレーニング後に全身を水に浸すアイスバスは、局所だけ浸すアイシングに比べて疲労などの回復に効果的である3)ことが報告されています。
また,Ferreira-Juniorら4)は、頭部以外の全身を-110℃で3分間冷却するpartial-body cryothrapy(PBC)の効果を検証しました。
このことから組織の修復や疲労回復にも影響することが分かっています。
野球のピッチャーが交代した後に肘や肩を冷やしていることがありますが、このような目的から行われています。
またPBCもプロのチームで用いているところもよくみかけます。
以上 応急処置以外のアイシングについてまとめてみました。
この時期に必要なアイシングだからこそ正しい知識と使い方を心がけたいですよね。
参考になれば嬉しいです。
参考文献
参考文献を以下に記します。解釈で間違っていることがあればご指摘の程、お願いいたします。
1) Bleakley C,et al : The use of ice in the treatment of acute soft-tissue injury : a systematic review of randamised controlled trials. Am J Sports Med : 32 : 251-261,2004
2)Wassinger CA, et al : Proprioception and throwing accuracy in the dominant shoulder after cryotherapy. J Athl Train 42 : 84-89,2007
3)Poppendieck ,et al : Cooling and performance recovery of train athletes : a meta-analytical review. Int J Sports Physiol Perform 8 : 227- 242, 2013
4)Ferlleira-Junior JB,et al: One session of partial body cryotherapy(-110℃)improves muscle damage recovery. Scand J Med Sci Sports. 2014
コメントを残す