超高齢社会に突入し要介護者が500万人に迫っている日本では、運動器の機能障害は要介護の三大原因のひとつであり、その対策が重要な政策課題となっています。
高齢者の運動器機能障害の予防を目的として、ロコモティブシンドロームという概念が広まっています。
皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか?
今回は以下の内容でロコモについて説明していきたいと思います。
- ロコモの概念
- ロコモの評価
- ロコモの予防
1.ロコモの概念
ロコモは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」と定義されています。
運動器の障害は 運動機能の低下と運動器疾患を含み加齢、遺伝背景などによって悪化し進行すると移動機能が低下し、自立度低下につながってしまいます。
また、運動習慣がないこと、身体活動が低いこと、不適切な栄養摂取によりロコモは加速します。(図1)
2.ロコモの評価
ロコモのリスクの評価法として、「ロコモーションチェック」と「ロコモ度テスト」が日本整形外科学会から提示されています。
「ロコモーションチェック」は7項目の質問からなる自己チェック法であり、ひとつでも該当項目があるとロコモのリスクがあるとされます。
「ロコモ度テスト」は、下肢筋力を評価する「立ち上がりテスト(図2)」、下肢筋力やバランス能力、柔軟性を評価する「2ステップテスト(図3)」、運動器障害の早期発見のための調査票「ロコモ25」から構成されています。
これらを用いて運動器障害を早期に察知して、早期の対策を図ることが求められている現状です。
ロコモ度テストの基準値は、「ロコモ度1」「ロコモ度2」の2つのレベルで設定されており、前者はロコモが始まった状態、後者はロコモが進行した状態を示します。
3.ロコモの予防
ロコモの予防、改善のためには、①運動習慣の獲得②適切な栄養摂取③活動性の高い生活④運動器疾患に対する評価・治療が重要です。
運動習慣としてはすべての運動が有用でありますが、日本整形外科学会ではロコモの予防・改善のために、特に、スクワット・片脚起立・ヒールレイズ・フロントランジを加えてロコモーショントレーニングとして推奨しています(図4)。
栄養に関しては、バランスの取れた食事と十分なたんぱく質の摂取カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどが重要といわれてます。
また、社会参加や外出の多い活動性の高い生活も推奨されています。
暑さや感染の影響もあるのでなかなか外出することも難しいですが外に出て人と会うことや散歩などをすることが社会性の部分で非常に重要です。
どうだったでしょうか?
ロコモの状態が生じると健康状態に影響が及びます。
トレーニングを始めるきっかけになれば良いなと思います。
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