外反母趾に有効な運動療法は足趾把持よりShort foot exercise

外反母趾の原因として、内側縦アーチや横アーチの低下が言われています。


そのための運動療法として、足趾把持練習やタオルギャザーを行うのが一般的でしょうか。


内側縦アーチや横アーチの向上のためにはShort foot exerciseが有効なので紹介したいと思います。


Short foot exerciseの効果として

  • 母趾外転筋の筋出力向上
  • 内側縦アーチの保持に寄与

が挙げられます。


適応としては

  • 扁平足
  • 外反母趾
  • 女性
  • ヒールを頻繁に履くことが多い
  • スポーツ選手

といった方に適応されると思います。


今回はこれらについて解説したいと思います。



short foot exerciseの効果


A comparison in the muscle activity of the abductor hallucis and the medial longitudinal arch angle during toe curl and short foot exercises. 

では

Toe towel curls(タオルギャザー)とshort foot exerciseどちらの運動がより母趾外転筋を活性化させるか、また内側縦アーチを変化させるかを明らかにしています。

以下にその要約していきます。

研究目的

  1. Toe towel curlsとshort foot exerciseでは母趾外転筋の活動量ならびに内側縦アーチの角度の違いがあるか?
  2. 坐位と片脚立位では、Toe towel curlsとshort foot exerciseの両方で母趾外転筋の活動量ならびに内側縦アーチの角度の違いがあるか?

方法

対象

20名を対象としToe towel curlsとshort foot exerciseを実施した際の母趾外転筋と内側縦アーチ角を比較した。


項目

  • 母趾外転筋の筋活動量(%MVIC)を算出
  • 内側縦アーチ角度を測定

解析方法

反復測定による2元配置分散分析を行いその後、post hoc testとして対応のあるt検定を実施


結果

  • 母趾外転筋の筋活動量は坐位および片脚立位の両方で、Toe towel curlsに比べshort foot exerciseの方が有意に大きかった(差の平均:坐位=35.0 %MVIC、片脚立位=55.7 %MVIC)。
  • 内側縦アーチ角度は坐位および片脚立位の両方で、short foot exerciseはToe towel curlsに比べ有意に小さかった(差の平均:坐位=4.2°、片脚立位=6.4°)。

考察

  • 有意にshort foot exerciseは母趾外転筋の筋活動を高めることができ、また内側縦アーチを高める効果が認められたため、short foot exerciseを母趾外転筋の筋力トレーニングとしてより推奨できる



short foot exerciseは足部内在筋に優位に効果を示すので、扁平足や外反母趾の方に対しても効果があるか臨床研究を行っていく必要がありますね。



short foot exerciseの方法


Mulligan2)の方法に準じたものを紹介します。


動作:足趾を曲げずに足の前後径をできるだけ短くするように、第1中足骨頭をできるだけ踵に向かって近づけるよう意識

姿勢:立位 → 片脚立位 とレベルを挙げていく

負荷量:5 秒間の最大等尺性収縮とし, 30 回で 1 セット  1 日 1 セット

注意:近位趾節間関節の屈曲を伴わないようにする




足部は身体の土台です。

そのため、安定した機能を獲得する必要があります。

適応となる方も多いと思いますので、臨床で実際に行ってみてください。

参考になれば嬉しいです。




参考文献

1)Jung DY, Kim MH, Koh EK, Kwon OY, Cynn HS, Lee WH.: A comparison in the muscle activity of the abductor hallucis and the medial longitudinal arch angle during toe curl and short foot exercises. Phys Ther Sport. 2011;12:30-5.

2)Edward PM, Patrick GC: Effect of plantar intrinsic muscle training on medial longitudinal arch morphology and dynamic function. Man Ther.
2013; 18: 425-430.

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