手術後や受傷後の夜間時痛はいつ治る?【原因・メカニズム】

今回も患者さんからよく聞かれる疑問に答えられるようにしていきたいと思います。

よく

「夜になると痛い」

「痛くて眠れない」

こういった訴えを聞くことが多いです。

こうした疑問に答えられるような内容をまとめていきたいと思います。

前提条件として、こういう方は手術後や怪我をした後に痛みが生じているのがほとんどだと思います。


夜間時痛の原因

原因としては 

  • 関節内圧の上昇
  • 血流の低下

が挙げられます。

文献を読んでいくと夜間時痛に関しては肩関節での研究が多く行われているようです。

山本ら1)や林ら2)は肩関節の夜間時痛に関して、肩峰下関節の内圧上昇をメカニズムとしています。

  • 肩峰下滑液包の急性炎症や腱板炎
  • 肩峰下骨棘の増殖
  • 烏口肩峰靭帯の肥厚など
  • 肩峰下滑液包と腱板の癒着
  • 腱板筋群の攣縮
  • 浮腫
  • 腱板疎部を中心とした肩関節上方支持組織の癒着、 短縮など

が挙げられています。

これらを大きくまとめると

炎症症状

骨の変形

軟部組織の癒着や攣縮

が当てはまってきそうですね。

また、直接的に痛い部位とは関与はしないですが、

  • 糖尿病を有している
  • 年齢が若い(中高齢)
  • 可動域制限

といったことも影響するそうです。


夜間時を軽減する方法は?

では、夜間時痛を軽減させるにはどうすればいいのでしょうか?

この答えとしては

  • 炎症症状の軽減
  • 組織の治癒
  • 軟部組織の柔軟性改善
  • ポジショニング

が必要となるようです。

リハビリ職が多く関わる点を抜粋しており、服薬管理やその他の治療に関しては省いています。

以下に解説していきます。

炎症症状の軽減

特に急性期と思われる症状ですが、アイシングや安静での対応が必要です。

アイシングすることで細胞の代謝を低下させることができて一時的に痛みの閾値を上げ痛みを感じにくくなります。

そして炎症反応が治らない時には安静をとることにより組織の修復を促すことができ炎症反応の軽減に繋がります。

組織の治癒

組織が治癒していくことで痛み自体が減っていきます。

そのためいかにスムーズな治癒を促すことができるかということに着目します。

安静や運動療法・物理療法を組み合わせて行い、しっかりとした栄養をとることが重要です。

運動療法は筋の収縮を行い循環や呼吸などの代謝を活性化させ組織の修復を促していきます。

損傷部位は循環が悪くなっている状態のため血液を循環させることで修復を行っていきます。

物理療法はCochrane Libraryで電気刺激療法が有効みたいですね。

軟部組織の柔軟性改善

安静期間が長いと周囲の軟部組織の柔軟性が低下したり滑走性が低下したりします。

損傷部位も痛みによって筋spasmが生じ血流が悪くなる発痛物質が貯留してしまいます。

これを改善するためには徒手的治療・運動療法・物理療法などを用いて改善していきます。

ここでも循環改善をして血流を促すのが必要です。

ポジショニング

肩などの痛みが生じる部分が不安定だと緊張が高くなる場合や重力で血流が悪くなる場合があります。そのために枕やタオルを用いて安定したポジションを保ち、なおかつ挙上することができます。


いかがでしょうか?

今回は夜間時痛の原因と改善方法について解説していきました。

患者さんが良い生活を送るには良い睡眠が必要だと思います。

そこもリハビリ職としてアプローチしていくことも重要ですね。

参考になれば嬉しいです。


参考文献

1)山本宣幸,岡村健司・他:腱板断裂患者の夜間痛について-術前・術後の肩峰下滑液包圧の変化-.肩関節 28:279-282,2004

2)林 典雄,鵜飼建志:夜間痛を合併する肩関節周囲炎 の可動域制限の特徴と X 線学的検討~運動療法への展開~.The Journal of Clinical Physical Therapy 7: 1-5,2004

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