科学的に正しい高齢者の身体機能評価は?【システマティックレビュー】

今回はエビデンスや多くの研究で用いられている身体評価項目をまとめてみます。

  • 高齢者に関わっている
  • 臨床や地域の運動教室で測定できるものを知りたい
  • 科学性を出したい

といった方に読んでもらえればと思います。

私は普段高齢者の方を担当していることが多く、修士の研究も高齢者を対象に行っていました。

調べていたことをまとめていきたいと思います。

ちなみに転倒に関する文献は過去にもまとめた記事があるのでそちらも読んでもらえると嬉しいです。

なぜ転ぶ?高齢者の転倒に影響がある因子は?【システマティックレビュー】


高齢者の身体機能評価は何が必要か?

高齢者に必要な身体機能評価は

  • 筋力
  • バランス
  • 持久性
  • 柔軟性
  • 敏捷性
  • 移動能力

が挙げられます。

なんとなくイメージできるでしょうか?

これらの機能は加齢と主に低下していくと言われています。

転倒や介護状態との関連がいわれており、評価されることが多い項目です。

その他で質問紙の評価は

認知機能や社会機能などが含まれます。


具体的な評価項目は?

ではそれぞれの具体的な評価項目はどのようなものがあるでしょうか?

筋力

  • 握力
  • 膝伸展筋力
  • 立ち座りテスト

握力は、簡便であり、一般的に総合的な筋力の評価に用いられる評価です。

下肢筋力は膝関節伸展筋力の等尺性筋力が用いられます。

起居移動動作(階段昇降、 歩行など)自立のためや転倒の危険性を把握するためのカットオフ値が報告されています。

立ち座りテストは,30秒間で何回の反復立ち座りができるかを測定する方法や規 定回数(5 回)の反復立ち座り動作の所要時間を測定する方法が用いられています。

前者は筋持久力を後者は筋瞬発力を評価することができるので、同じ筋力評価でも使い分けが必要です。

バランス

  • 片足立ち時間
  • Functional reach test
  • Berg balance scale
  • Four square step test

片足立ち時間は静止立位バランスの評価に用いられます。

Functional reach testは動的バランスの評価に用いられます。

Berg balance scale・Four square step testは複数の要素を含んだ包括的なバランス評価です。

いずれも高齢者の転倒と相関が見られています。

持久性

  • 6分間歩行テスト

6分間でどの程度歩けるかを評価するものになります。

高齢者において再現性が報告されており筋力やバランスとの相関がみられています。

時間や場所の制限があるので実施の際は環境設定が必要でしょう。

柔軟性

  • 長座体前屈

比較的高齢者の測定で安全に行うことができます。

敏捷性

  • 全身反応時間
  • ステッピングテスト

全身反応時間は刺激を得てから体が反応するまでの時間です。

ステッピングテストは座位や立位で行うことができます。

どちらも反応速度の評価として有用であり、転倒予防のためにも重要な評価となっています。

移動能力

  • 歩行速度
  • Timed up & Go test

歩行速度は運動能力を最も代表する指標であるといわれています。

TUGは転倒や介護予防のためのカットオフ値が求められていて、最大努力がばらつきがないといわれています。


いかがでしたか?

こうやって改めてまとめると、偏った評価や不足している項目などがありましたか?

普段の臨床場面や地域で行う評価は環境設定や測定しやすさが求められることが多いと思います。

しかし科学的に正しい方法で行わないと再現性に乏しくバラツキのあるデータとなってしまいます。

そのため一つ一つの評価をしっかりと見直しておくことが重要です。

参考になれば嬉しいです。

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