スポーツと歯の力は多く報告されています。
しかし、
「実際、どのような関係があるのか?」
「どうすれば良いか?」
詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
今回は噛む力とスポーツの関係についてまとめます。
結論として
噛むことによる効果は
- 筋力向上
- 脳の活動を活性化
が挙げられます。
以下にその理由を解説します。
目次
筋力向上
上の歯と下の歯が合わさるとき、「噛んだ」という情報が脳の「運動野」に伝達されます。
すると、脳はその情報を受けて刺激され、身体を動かす「骨格筋」などの反応や動きに影響を与えます。
ある実験では、ガムを噛んだあとに、「膝関節」の筋力を測定したところ、 ガムを噛まなかったときに比べて約8%も筋力がアップしたとの報告もあるようです。
このことからも「噛む」ことは、筋力アップにつながり、 質の高いプレーやトレーニング効果を生み出す可能性があるといえます。
脳の活動の活性化
スポーツのプレー中には、その場で瞬間的な判断が必要な場面がありますね。
そんなときは、身体のキレとともに、頭のキレも求められます。
MRI で噛んでいるときの脳の状態を調べた結果、「噛む」力が強いときほど、脳が活発に動いていることがわかりました。
また、脳血流を測定してみると、やはり「噛む」力と比例していました。
噛むことで認知機能を司る前頭前野の血流がよくなり、集中力と判断力が高められます。
つまり、「噛む」と血の巡りが良くなり、判断力がアップしパフォーマンスが上がるというわけです。
奥歯で噛むか?前歯で噛むか?
ある研究1)では
「奥歯で噛む」時は、咀嚼筋の筋活動の上昇に応じて小脳をはじめとした運動の命令を送る領域の脳活動が活性化し、「前歯で噛む」時に比べ有意に強い正の相関が示されました。
一方、「前歯で噛む」時は、逆に咀嚼筋の筋活動の上昇に応じて帯状皮質運動野をはじめとした繊細な力のコントロールに関与する領域の脳活動が減少し、「奥歯で噛む」時に比べ有意に強い負の相関が示されました。
すなわち、「奥歯で噛む」時は、噛む力が大きい程、脳内の力強く噛む機能がより強く働くことが示され、逆に「前歯で噛む」時は、噛む力が小さい程、脳内の繊細に力をコントロールする機能がより強く働くことが明らかとなりました。
これをまとめると
- 奥歯で噛む → 強い力
- 前歯で噛む → 繊細な力
となります。
これらの使い分けも把握しておきたいですね。
噛む力を向上するためにはしっかりとした噛み合わせが必要です。
そのためには、歯科受診をして歯並びや噛み合わせを診てもらうことや、食事の際にしっかり噛むことを意識することが必要です。
トレーニングをする際の参考にしてみてはいかがでしょうか?
参考文献
- Hideyuki Yoshizawa, Jun J. Miyamoto, Takashi Hanakawa, et al. Reciprocal cortical activation patterns during incisal and molar biting correlated with bite force levels: an fMRI study. Scientific Reports. 9:8419.2019.
- 噛むこと研究所.https://kamukoto.jp/body/610
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