「転ぶのが怖い」
「怖くてなかなか動けない」
そんな訴えを聞いたりしたことはないでしょうか?
これらは転倒恐怖感といわれています。
今回は、転倒恐怖感を評価する為の(Fall Efficacy Scale、以下FES)についてまとめていきます。
Fall Efficacy Scaleとは?
そもそも、高齢者における転倒恐怖感の存在は社会的交流を減少させ、QOL(Quality of Life)の低下のみならず、日常生活における身体活動量の低下を引き起こし、廃用症候群の原因となる といわれています。
Deshpandeら は、転倒恐怖感による活動制限がある高齢者は、そうでない者に比べ、3年後の身体機能,ADL(Activities of Daily Living)および IADL(Instrumental Activities of Daily Living)は低下することを報告しています。
また転倒恐怖感の存在は、それ自体が転倒の危険因子となることも示唆されています。
この転倒恐怖感の関連要因として高齢、女性、歩行能力、バランス能力、転倒経験、抑うつ、ADL、IADLなど多数が報告されています。
関連要因も多く、これらの項目が低下(リスク高)している方は転倒恐怖感も大きくなることがいわれています。
転倒恐怖感の評価として、Tinettiらが、Bunduraによって提唱されたセルフ・エフィカシー理論を基に、転倒恐怖感を「特定の活動を、転倒することなく遂行することに対する低セルフ・エフィカシー状態」と操作的に定義して、転倒恐怖感を測定するスケールFESを開発しました。
Fall Efficacy Scaleの評価方法
転倒恐怖感の測定には、Modified Fall Efficacy Scale(以下、M-FES)の日本語版が使用されることが多いでしょう。
これは、評価対象の活動に対して転倒することなく遂行できる自信の程度を、各項目ごとに全く自信が無い(0点)から完全に自信がある(10 点)まで自己評価するものです(範囲:0–140 点)。
評価対象の活動は、屋内外の通常は危険を伴わない具体的なADLおよびIADLである14項目から成り立っています。
- 風呂に入る
- 戸棚やタンス,物置のところまで行く
- 食事の準備をする(調理・配膳)
- 家の中の廊下や畳の上を歩き回る
- 布団やベッドに入る,布団やベッドから起き上がる
- 来客(玄関やドア)や電話に応じる
- 椅子にかける,椅子から立ち上がる
- 衣服(ズボン・スカートを含む)の着脱を行う
- 軽い家事を行う(掃除機がけ・本棚の整理程度)
- 軽い買い物を行う
- バスや電車を利用する
- 道路(横断歩道)を渡る
- 庭いじりをする,洗濯物を干す
- 玄関や勝手口の段差を越す
これは,実際の遂行能力とは区別されるのであくまでもイメージしてどの程度できそうかという点を評価します。
M-FES スコアが低いほど転倒恐怖感が強いことを意味します。
M-FES の総得点が、140 点を転倒恐怖感無し139点以下を転倒恐怖感有りとされています。
Fall Efficacy Scaleを使うことで転倒の自己効力感を評価することができます。
簡単に評価できるので適応がありそうな方には使用してみると良いでしょう。
参考になれば嬉しいです。
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